【新デッキ】ナバン・バーン
2018年12月4日 MTG(オワコン)
旧ラヴニカ・ボロスバーンをこよなく愛した男、
ガンダム。
「チャンドラのフェニックス」に「ボロチャ」「頭蓋割り」を擁した
懐かしのボロスバーン。
もしこの時代に「危険因子」があったら・・・
おそらくは旧ラヴニカスタンダードは、
アンチバーンカードで溢れかえっていたに相違ない。
「危険因子」はその見た目どおり
1枚(まあ2枚だが)で8点を出せるクソカードであり、
バーンでは最強の札ではあるが
これほど強いカードがありながら
現スタンダードで、バーンへのガードが働いているかというと
なんと、全くガラガラではないですか!
ノーマークであります。
なかなかの風穴チャンスが到来しているな。
現スタンダードでは、バーンに近い動きをしているのは
・赤単
・ラクドスバーン
の二者。
クリーチャーを主体とする赤単がダメなのはまだわかるとして
ラクドスバーンがなぜ通用しないのか、まずはそこから思考しなければなりません。
火力呪文側は
「ショック」
「稲妻の一撃」
「魔術師の稲妻」
「危険因子」(危険因子4or実験の狂乱4は同義枠なので以降の文では同等に扱うぞ)
というラインナップなので
クリーチャーの側が弱すぎて話にならない、ということでありましょう。
確かに
ヤンパイ、チャンフェニやレコナーにあたる存在は現プールにはありませんな。
ナバン・バーンの着眼はこのあたりから入ることになります。
果たしてガンダム二度目の風穴バーンデッキは完成形をみるのであろうか。
時代を繰り返すときが来たようだな
デッキリスト
https://www.streamdecker.com/deck/rJPbo-m1N
アリーナの資産的には
ドミナリアのドラフトを周回していれば
すぐ組めるデッキであります。
イゼットドレイクに飽きたら、バーンにトランスフォーム
●赤のデッキにおける、20点のうちわけ
相手を20点削り切る、
「クリーチャー:火力」の担当ダメージ、
つまり、何点をクリーチャーに担当させ、何点を火力に担当させるか。
その内訳の話である。
(1)赤単の場合
赤単ではクリーチャー対火力で概ね「12:8」
つまり、赤単はクリーチャーで12点削り、残り8を火力で削り切る。
(さらに詳細な内訳を言えば、初撃が2~3点
ヴィーアシーノの誘発で2~4点、蒸気族を一度通して4点
これが定番で、概ね12点前後で収束するという感じ)
盤面で攻め手がなくなり一旦手が止まるのが残ライフ8付近なので
概ね当たっているでしょう。
以前触れたように、
赤単のクリーチャー陣営は過去10年を遡って最弱であるため
このゴミ軍団で12点削るためには、火力を防御クリーチャーに使って攻撃を通す。
火力を盤面に打つということは、当然カードもダメージも足りなくなるので、
空っぽになったリソースを「実験の狂乱or危険因子」で補足して残りの8点を削る
というのが、ほとんど全てのマッチでの展開である。
以上の展開から言っても
実験の狂乱に依存度100%のワンマンデッキと断定できるが
4 ショック
4 稲妻の一撃
4 魔術師の稲妻
4 実験の狂乱or危険因子
の部分だけは十分にスタンダード級の火力セットであり、押し切れる陣営である。
赤単がダメな理由を総括するに
このクリーチャー陣営で12点削るには火力呪文の負担や消費量が多すぎる。
火力でアタック可能な場を作る際に
一度に出せるダメージが少なすぎるために時間がかかる、というべきか。
結果的にたくさん火力が必要になる。
まず、「ギトゥの溶岩走り」とかいうクズ中のクズであるコモンカード。
こいつが「魔術師の稲妻」の必要経費で入るのが本当に頭が痛い。
「狂信的扇動者」にいたってはパワー1固定、天を仰ぐ弱さである。
こういうカードが多いために
「実験の狂乱or危険因子」の依存度があがり、デッキが弱くなるのである。
そこだけ対処されたら、負け。
現代マジックでコモンカードを使うということは絶対的に不利要素である。
コモンで盤面勝負を挑むのは自殺行為に等しいが、
自殺をかろうじて思いとどまらせているのが実験の狂乱、という感じ。
コモンは帰ってくれ。
(2)ラクドスバーンの場合
「剣呑な交渉」などの入ったラクドスバーンの場合だと
比率が逆転し、大体「6:14」という感じだろうか。
魔術師の稲妻を1マナで打つために、
相変わらず「ギトゥの溶岩走り」が入ってはいるが
他のクリーチャーが「静電場」であることから見ても、
ブロッカーに火力を打ち込む気はほとんどない構成である。
大体が、1~2ターン目のクリーチャーが出す初撃ダメージに加え
静電場が3~4点程度削って
あとは全て呪文で焼き切るというような展開。
うーむ、リソース計算上は20点のダメージは出るデッキなのだが
何がダメかというと
「呪文だけで15点削り切るのは非現実的」というところでありましょう。
この構成では、20点を逆算すると盤面に対して火力をほぼ打てないが、
それだと敵のクリーチャーからのダメージのほうが効率も速度も上回ってしまう
つうことです。
静電場は防御機能という観点では期待ハズレで
パワー0の壁では敵の攻撃を捌ききれません。
(3)イゼット・バーンの場合
というわけで、今回のデッキですな。
ガンダムが提唱するナバン・ウィザードバーンでは
20点の内訳担当ハードルを「8対12」に設定する。
つまりクリーチャーが殴って8点。
火力呪文で本体に12点打ち込む。
どちらかと言えば、ラクドスバーンに近い配分だが
ラクドスと違って、クリーチャーでも数点殴りを入れることを期待する形。
基本的な考えは、(1)赤単と(2)ラクドスバーンの弱点や不成立要件を解消する
という着眼であります。
クリーチャーは8点と目標が低く、
「盤面に火力呪文を打たない」状態で8点ダメージを稼ぐことを目指す。
その後、盤面は捨てるので防戦一方状態になるが
延命に火力を消費さえしなければ、火力で焼き切りを狙えるであろう、
という形である。
まあ(1)(2)(3)いずれにも言えることですが
「危険因子or実験の狂乱」の枠、ここが桁違いの強さであるがゆえに
成立するデッキであります。
●入るカードリスト
--------------------------------------------
マーフォークのペテン師 4枚
--------------------------------------------
マーフォークや青単を使っている人なら薄々気づいてるだろうが
現環境に適した強い2マナ域で、常に感触の良いカードであります。
小粒を討ち取りやすく、縦に強いクリーチャーにはテンポ面で有利であり、
オールレンジに使えるカードである。
もちろんドレイクもおいしい相手、
使われる絆魂クリーチャーは「癒やし手の鷹」と「軍団の上陸」しかなく
ペテン師で大体奇襲ブロックできる、というのも良いですね。
ただし、盤面が対等以上でなければテンポをとる意味がないため
これ1匹だけ引いたところで「その場しのぎ」にしかならない。
これがこのカード単体での短評でありましょう。
しかし、バーンデッキにおいては
そもそも盤面で勝つことを目指していないので
ペテン師のワンナイトタップ処理は効率が良い展開が多いのであります。
デッキテーマである
「盤面に火力を使わずに8点」に最も貢献するカードで、
火力を使わず殴れる場を作り、火力を使わず盤面死を回避させる。
3~4ターン目の航路の作成を安定させる、これもでかい。
使った後は、いくら盤面で負けていようが関係ない。
平たく言えば、
赤単はブロッカーを排除するために火力を使うが、
ウィザードバーンでは、ペテン師を使って排除する、ということであります。
ここの貯金が赤単「12:8」、ウィザードバーン「8:12」という
プランの差につながる。
12点も本体に火力を打つのは本来は難しいが、
ペテン師によって、その貯金を作ることを目指す。
--------------------------------------------
反復の学部長、ナバン 3枚
--------------------------------------------
生き残らないが、それでよい。
という感じ。
現在のスタンダードのゲーム展開は、
序盤からすでに除去の応酬。
クリーチャー、除去、クリーチャー、除去と繰り返し、
大振りなカードを投げ込んで、先にフラッドしたほうが負け。
大体がそんな展開なので、ナバンも概ねは即座に退場するでありましょう。
2マナのクリーチャーで除去を打たれて退場しないカードはほとんどない。
が、残ると実に強力なカードであります。
ナバンの場合は、ペテン師反復からのフルパン、または2点投石の魔導師を反復して4点。
クリーチャーのノルマは8点到達だが、ナバンが残るゲームでは8点を超過するので
火力サイドの負担がだいぶ軽減されます。
セレズニアや白ウィニーなど、ガードが甘いマッチアップではすさまじく輝くカードであります。
ゴブリンの電術師はこのデッキでは役に立たないスケープゴートなので
選べる状態ならば、電術師を囮に投げておこう。
まきつき蛇が、わざと2ターン目に導路の召使いを投げていたのと同じ手順である。
枚数は3枚。
イマーラがレジェンドでも4積みされる理屈と近く、出たら即座に死ぬから手札に腐りにくい。
ただ、イマーラと違って、殴れなくなって棒立ちになった時に、ナバンは強さが違いますな。
つうわけで、相手も遅れてきた除去は全てナバンに打ってくる。
4枚でもいいけど、まあ3枚が適正ではないか、といったところ。
--------------------------------------------
ヴィーアシーノの紅蓮術師 4枚
--------------------------------------------
赤単の価値を下げているカードの一角。
コモンカードのあなたに言っても仕方ないですが
「地揺すりのケンラ」は、
場に出た時にプレイヤーかプレインズウォーカーに2ダメージを与え、
6ターン目には4ダメージを与えていましたよ。
赤単目線では、
「頼む、お前は帰ってくれ」というクソカード序列・第3位のカードである。
ただ、赤単ではこいつを含む陣営で「12点」も削らなきゃいけなかったのに対し
ウィザードでは「8点」で目標達成のため
比重的な観点から、このデッキでは投石能力も強力な効果であります。
他に適任がいなければ2ターン目に適当に投げておいて
1回殴れれば御の字、あとはこいつがどう死のうが知ったこっちゃねえです、という運営でいいが
ナバンを引く可能性を考えれば、できれば2陣3陣で放り込みたい。
ナバンの項でも書いたように
やはり2ターン目は選べるなら電術師から投げるのが正着手であります。
2マナ域が選べる手札なら、いつ投げても2点が確約しているこのカードは一番最後に使う。
終盤引いても強いところは、赤単での評価点と同じ。
もしナバンで4点投石したら褒めてあげよう。
フレイムリフトである。
--------------------------------------------
ギトゥの修士魔導師 4枚
--------------------------------------------
3マナ3/2、ウィザード所持で2点投石。
「エイデリズ」や「水罠織り」らと比較して、最終的に残ったカード。
それらのカードは
盤面で相手と勝負しにいくカードということで
不利な土俵に自分から登っていく構築に過ぎないと気付き廃棄された。
盤面を作りに行くと
相手のパワーカードをより強く使われてしまうだけ。
「盤面勝負ならレアか神話レアを使う」
というのは、現代マジックの基本中の基本であります。
ギトゥの修士魔導師は、盤面を作りに行かない使い捨てカード。
クラリオンされようが、チュパカブラされようが、盤面でどんだけ負けようが
火力が間に合うまでに自分のライフがなくならなければそれでよい。
このデッキでは
火力と盤面を両方カバーする投石クリーチャーが非常に効率がよく
ナバンの後押しもあって、合計8枚投入された。
火力と盤面を両方カバーする、という観点を具体的に言えば
ラクドスバーンが通用しない理屈を考えると分かりやすいかもしれません。
本来、ラクドスバーンは「危険因子」「剣呑な交渉」と打ってる呪文はかなり強いのですが
盤面死しすぎるために、盤面に火力を打たざるをえなくなる。
イゼットでは使い捨て3/2が多少カバーしてくれる。
ナバンの後押しで反復投石できるために、使用に耐える域まで上方修正される、というわけ。
セレズニアや白ウィニーなど
「議事会の裁き」までナバンを残してくるマッチでは、遠慮なく4点ダメージを打ち込もう。
--------------------------------------------
燃えがらの風、エイデリズ 1枚
--------------------------------------------
うーん。
弱すぎて、みるみるうちに4枚から数を減らして1枚。
「水罠織り」が弱いのと同じ理屈で、盤面からダメージを出すカードであるため、でしょう。
3ターン目の脳死特攻では、本来効かないカードである轟音のクラリオンが刺さってしまい
デッキの良さを消してしまいます。
マーフォークのペテン師から仕掛けるのが大前提として運営しても、
返しの必要マナコストが3+1で4。
この時点でまずちょっと重いカードである。
また、「選択」が相棒カードであるため
エイデリズを基軸にしたダメージ戦略だと、ドロー呪文の質が落ちますな。
俺は2ドローが確実な「航路の作成」を使いたいし、
「選択」はバーンデッキには必要ありません。
まあ、しかし0枚ではないと思っている。
強いけども、強いシーン自体が限られるため、ひょっこり顔出す頻度くらいの枚数、
1枚あるいは2枚が適切か。
これを4枚から減らしてギトゥの修士魔導師にしたことで安定した。
--------------------------------------------
ギトゥの溶岩走り 0枚
--------------------------------------------
念願の0枚。
他にウィザードがたくさんいるために、魔術師の稲妻が問題なく打てる。
君は心置きなく帰ってくれたまえ。
とにかくこのカードは本当に弱すぎで
赤単の目線では
ラクドスが実装されたら真っ先に解雇したいゴミカードであるが、
解雇したら解雇したで「魔術師の稲妻」が打てなくなるジレンマを抱えている。
1マナにパワー2が一種類もいない赤単プールってやばすぎる。
「クメーナの語り部」くらいの疾走感があるカードがあれば満足にデッキが組めるのだが。
1月の新セットでどうなることでしょうか。
とにかく、イゼットではこのカードを1枚も使わなくて済むことがうれしすぎる。
秒速即決の0枚。
--------------------------------------------
ゴブリンの電術師 2枚
--------------------------------------------
「危険因子」を連射するためだけに入っているが
ドロー呪文である「航路の作成」を1マナで打てることは手数の面で大きく評価できる。
大体は蒸気孔から電術師が出てきたらデッキを誤認されるので、
相手は展開を止めて真っ先に除去を打ってくる。
打ってもらうのが良いでしょう。
ラジカルアイデアもディスカバリーも入ってないこのデッキでは
一番いらないカードである。
たまにナバンと一緒に並んでいるときに、対戦相手がこちらに除去を打ってくることがある。
別にミスとは言えないプレイで、おいしい心理戦、情報戦となっている。
「模写」「音波攻撃」などは相性よく使えるが
そこまで電術師に依存する必要もなかろう。
スケープゴート枠+残ればそれなりに強いカードというところ。
危険因子がたくさん手札に来たときに無類の強さを発揮する。
基本的には2枚以上引いたら困るカードであり、
電術師に依存するフェニックスですら、電術師4積みは敗因リスクのある構築である。
その点、我らは気軽に適正枚数で使える枠ですな。
2枚。
--------------------------------------------
危険因子 4枚
--------------------------------------------
多くを語る必要もあるまい。
バーンは常に「手札の総火力」の合計を計算し
残り必要な不足点数を計算し続けるデッキである。
危険因子が初手にあれば
開始時の計算で、すでに相手のライフ「12」である。
やばすぎ。
3ターン目にペテン師と危険因子を構えるのが
ナバン軍での天地魔闘。
クリーチャーが出てこないようなら危険因子を打ちまくっていればいいのである。
イゼットドレイクと戦う時などにかなり強い構えとなります。
裏目がないのでプレイしやすいカードだ。
--------------------------------------------
ショック
稲妻の一撃
魔術師の稲妻 12枚
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旧ラヴニカのボロスバーンと比べても、遜色ない陣営。
「頭蓋割り」「ボロスの魔除け」は確かに強かったが
現代ラヴニカでは「危険因子」を使えるので、このカードのほうが単価が高く、
「扇動者のらせん」枠の代わりに現代では「危険因子」を使っていると思えば
平均すれば今のスペルのほうが少し強いくらい。
逆に、クリーチャーは
旧ラヴニカには「若き紅蓮術師」「チャンドラのフェニックス」「ボロスの反攻者」がおり
段違いに旧バーンのほうが強いかなーという感じ。
まあそんなこんなで
スペル側の話でいえば、特に不満のない12枚確定ゾーン、
頼もしい陣営であります。
--------------------------------------------
溶岩コイル 0枚
--------------------------------------------
んー、個人的にはサイドボードにすら必要ないかな、という感じ。
このデッキでは再燃するフェニックスは丘巨人と変わらない。
フェニックスを丘巨人として処理できることがデッキの強みである。
倒したいのは「野茂み歩き」だけ。
メインでは絶対に0枚。
他に野茂み歩きを見れるカードがなければサイドボードにも1枚上限で選択肢。
--------------------------------------------
航路の作成 4枚
--------------------------------------------
「予言」が使えるバーンデッキってセンスがよくねえ?と思ったら
なんと2マナで打てるカードがあるとはな。
そこそこの殴りを目標にしているデッキなので強襲しやすく
さらにペテン師と一緒に使うと、なかなかの使い心地である。
ラクドスバーンの「剣呑な交渉」はうらやましいカードではあるが
「航路の作成」もそこまで劣ってはおるまい。
--------------------------------------------
ミラーリ予想 0枚
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ミラーリ予想自体は、バーンでは最高のカードである。
3章で10点以上は見込めるでありましょう。
が、現時点ではソーサリーがない。
溶岩コイルが絶対不採用である以上は、航路の作成のみ。
まあ、入れたとして1枚。
ラヴニカの献身でラクドス軍から強いソーサリーが出れば
ウィザード要素を薄めて、ミラーリを2~3枚入れる形もありえるだろうか。
危険因子or実験の狂乱に依存している、という点では赤単と同じ。
赤単よりゲームプランが優れている。
赤単側に一部羨ましいカードもあるが、まあ総じてはカード単価でも優れている
というようなデッキである。
バーンデッキが風穴を開ける瞬間のメタゲームは
だいたい盤面重視・アドバンテージ重視の構築勝負が始まっているとき。
バーンは盤面を無視して全く違う軸で勝負をしかける。
しかし、メタの一角になりガードされ始めたら一気にしぼむのもまた宿命。
流行る前、意識される前、
風穴を開ける直前の瞬間が楽しいデッキですね。
侮られている時期こそ好機。
ま、気が向いたら使用風景を録画します。
ガンダム。
「チャンドラのフェニックス」に「ボロチャ」「頭蓋割り」を擁した
懐かしのボロスバーン。
もしこの時代に「危険因子」があったら・・・
おそらくは旧ラヴニカスタンダードは、
アンチバーンカードで溢れかえっていたに相違ない。
「危険因子」はその見た目どおり
1枚(まあ2枚だが)で8点を出せるクソカードであり、
バーンでは最強の札ではあるが
これほど強いカードがありながら
現スタンダードで、バーンへのガードが働いているかというと
なんと、全くガラガラではないですか!
ノーマークであります。
なかなかの風穴チャンスが到来しているな。
現スタンダードでは、バーンに近い動きをしているのは
・赤単
・ラクドスバーン
の二者。
クリーチャーを主体とする赤単がダメなのはまだわかるとして
ラクドスバーンがなぜ通用しないのか、まずはそこから思考しなければなりません。
火力呪文側は
「ショック」
「稲妻の一撃」
「魔術師の稲妻」
「危険因子」(危険因子4or実験の狂乱4は同義枠なので以降の文では同等に扱うぞ)
というラインナップなので
クリーチャーの側が弱すぎて話にならない、ということでありましょう。
確かに
ヤンパイ、チャンフェニやレコナーにあたる存在は現プールにはありませんな。
ナバン・バーンの着眼はこのあたりから入ることになります。
果たしてガンダム二度目の風穴バーンデッキは完成形をみるのであろうか。
時代を繰り返すときが来たようだな
デッキリスト
https://www.streamdecker.com/deck/rJPbo-m1N
アリーナの資産的には
ドミナリアのドラフトを周回していれば
すぐ組めるデッキであります。
イゼットドレイクに飽きたら、バーンにトランスフォーム
●赤のデッキにおける、20点のうちわけ
相手を20点削り切る、
「クリーチャー:火力」の担当ダメージ、
つまり、何点をクリーチャーに担当させ、何点を火力に担当させるか。
その内訳の話である。
(1)赤単の場合
赤単ではクリーチャー対火力で概ね「12:8」
つまり、赤単はクリーチャーで12点削り、残り8を火力で削り切る。
(さらに詳細な内訳を言えば、初撃が2~3点
ヴィーアシーノの誘発で2~4点、蒸気族を一度通して4点
これが定番で、概ね12点前後で収束するという感じ)
盤面で攻め手がなくなり一旦手が止まるのが残ライフ8付近なので
概ね当たっているでしょう。
以前触れたように、
赤単のクリーチャー陣営は過去10年を遡って最弱であるため
このゴミ軍団で12点削るためには、火力を防御クリーチャーに使って攻撃を通す。
火力を盤面に打つということは、当然カードもダメージも足りなくなるので、
空っぽになったリソースを「実験の狂乱or危険因子」で補足して残りの8点を削る
というのが、ほとんど全てのマッチでの展開である。
以上の展開から言っても
実験の狂乱に依存度100%のワンマンデッキと断定できるが
4 ショック
4 稲妻の一撃
4 魔術師の稲妻
4 実験の狂乱or危険因子
の部分だけは十分にスタンダード級の火力セットであり、押し切れる陣営である。
赤単がダメな理由を総括するに
このクリーチャー陣営で12点削るには火力呪文の負担や消費量が多すぎる。
火力でアタック可能な場を作る際に
一度に出せるダメージが少なすぎるために時間がかかる、というべきか。
結果的にたくさん火力が必要になる。
まず、「ギトゥの溶岩走り」とかいうクズ中のクズであるコモンカード。
こいつが「魔術師の稲妻」の必要経費で入るのが本当に頭が痛い。
「狂信的扇動者」にいたってはパワー1固定、天を仰ぐ弱さである。
こういうカードが多いために
「実験の狂乱or危険因子」の依存度があがり、デッキが弱くなるのである。
そこだけ対処されたら、負け。
現代マジックでコモンカードを使うということは絶対的に不利要素である。
コモンで盤面勝負を挑むのは自殺行為に等しいが、
自殺をかろうじて思いとどまらせているのが実験の狂乱、という感じ。
コモンは帰ってくれ。
(2)ラクドスバーンの場合
「剣呑な交渉」などの入ったラクドスバーンの場合だと
比率が逆転し、大体「6:14」という感じだろうか。
魔術師の稲妻を1マナで打つために、
相変わらず「ギトゥの溶岩走り」が入ってはいるが
他のクリーチャーが「静電場」であることから見ても、
ブロッカーに火力を打ち込む気はほとんどない構成である。
大体が、1~2ターン目のクリーチャーが出す初撃ダメージに加え
静電場が3~4点程度削って
あとは全て呪文で焼き切るというような展開。
うーむ、リソース計算上は20点のダメージは出るデッキなのだが
何がダメかというと
「呪文だけで15点削り切るのは非現実的」というところでありましょう。
この構成では、20点を逆算すると盤面に対して火力をほぼ打てないが、
それだと敵のクリーチャーからのダメージのほうが効率も速度も上回ってしまう
つうことです。
静電場は防御機能という観点では期待ハズレで
パワー0の壁では敵の攻撃を捌ききれません。
(3)イゼット・バーンの場合
というわけで、今回のデッキですな。
ガンダムが提唱するナバン・ウィザードバーンでは
20点の内訳担当ハードルを「8対12」に設定する。
つまりクリーチャーが殴って8点。
火力呪文で本体に12点打ち込む。
どちらかと言えば、ラクドスバーンに近い配分だが
ラクドスと違って、クリーチャーでも数点殴りを入れることを期待する形。
基本的な考えは、(1)赤単と(2)ラクドスバーンの弱点や不成立要件を解消する
という着眼であります。
クリーチャーは8点と目標が低く、
「盤面に火力呪文を打たない」状態で8点ダメージを稼ぐことを目指す。
その後、盤面は捨てるので防戦一方状態になるが
延命に火力を消費さえしなければ、火力で焼き切りを狙えるであろう、
という形である。
まあ(1)(2)(3)いずれにも言えることですが
「危険因子or実験の狂乱」の枠、ここが桁違いの強さであるがゆえに
成立するデッキであります。
●入るカードリスト
--------------------------------------------
マーフォークのペテン師 4枚
--------------------------------------------
マーフォークや青単を使っている人なら薄々気づいてるだろうが
現環境に適した強い2マナ域で、常に感触の良いカードであります。
小粒を討ち取りやすく、縦に強いクリーチャーにはテンポ面で有利であり、
オールレンジに使えるカードである。
もちろんドレイクもおいしい相手、
使われる絆魂クリーチャーは「癒やし手の鷹」と「軍団の上陸」しかなく
ペテン師で大体奇襲ブロックできる、というのも良いですね。
ただし、盤面が対等以上でなければテンポをとる意味がないため
これ1匹だけ引いたところで「その場しのぎ」にしかならない。
これがこのカード単体での短評でありましょう。
しかし、バーンデッキにおいては
そもそも盤面で勝つことを目指していないので
ペテン師のワンナイトタップ処理は効率が良い展開が多いのであります。
デッキテーマである
「盤面に火力を使わずに8点」に最も貢献するカードで、
火力を使わず殴れる場を作り、火力を使わず盤面死を回避させる。
3~4ターン目の航路の作成を安定させる、これもでかい。
使った後は、いくら盤面で負けていようが関係ない。
平たく言えば、
赤単はブロッカーを排除するために火力を使うが、
ウィザードバーンでは、ペテン師を使って排除する、ということであります。
ここの貯金が赤単「12:8」、ウィザードバーン「8:12」という
プランの差につながる。
12点も本体に火力を打つのは本来は難しいが、
ペテン師によって、その貯金を作ることを目指す。
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反復の学部長、ナバン 3枚
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生き残らないが、それでよい。
という感じ。
現在のスタンダードのゲーム展開は、
序盤からすでに除去の応酬。
クリーチャー、除去、クリーチャー、除去と繰り返し、
大振りなカードを投げ込んで、先にフラッドしたほうが負け。
大体がそんな展開なので、ナバンも概ねは即座に退場するでありましょう。
2マナのクリーチャーで除去を打たれて退場しないカードはほとんどない。
が、残ると実に強力なカードであります。
ナバンの場合は、ペテン師反復からのフルパン、または2点投石の魔導師を反復して4点。
クリーチャーのノルマは8点到達だが、ナバンが残るゲームでは8点を超過するので
火力サイドの負担がだいぶ軽減されます。
セレズニアや白ウィニーなど、ガードが甘いマッチアップではすさまじく輝くカードであります。
ゴブリンの電術師はこのデッキでは役に立たないスケープゴートなので
選べる状態ならば、電術師を囮に投げておこう。
まきつき蛇が、わざと2ターン目に導路の召使いを投げていたのと同じ手順である。
枚数は3枚。
イマーラがレジェンドでも4積みされる理屈と近く、出たら即座に死ぬから手札に腐りにくい。
ただ、イマーラと違って、殴れなくなって棒立ちになった時に、ナバンは強さが違いますな。
つうわけで、相手も遅れてきた除去は全てナバンに打ってくる。
4枚でもいいけど、まあ3枚が適正ではないか、といったところ。
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ヴィーアシーノの紅蓮術師 4枚
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赤単の価値を下げているカードの一角。
コモンカードのあなたに言っても仕方ないですが
「地揺すりのケンラ」は、
場に出た時にプレイヤーかプレインズウォーカーに2ダメージを与え、
6ターン目には4ダメージを与えていましたよ。
赤単目線では、
「頼む、お前は帰ってくれ」というクソカード序列・第3位のカードである。
ただ、赤単ではこいつを含む陣営で「12点」も削らなきゃいけなかったのに対し
ウィザードでは「8点」で目標達成のため
比重的な観点から、このデッキでは投石能力も強力な効果であります。
他に適任がいなければ2ターン目に適当に投げておいて
1回殴れれば御の字、あとはこいつがどう死のうが知ったこっちゃねえです、という運営でいいが
ナバンを引く可能性を考えれば、できれば2陣3陣で放り込みたい。
ナバンの項でも書いたように
やはり2ターン目は選べるなら電術師から投げるのが正着手であります。
2マナ域が選べる手札なら、いつ投げても2点が確約しているこのカードは一番最後に使う。
終盤引いても強いところは、赤単での評価点と同じ。
もしナバンで4点投石したら褒めてあげよう。
フレイムリフトである。
--------------------------------------------
ギトゥの修士魔導師 4枚
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3マナ3/2、ウィザード所持で2点投石。
「エイデリズ」や「水罠織り」らと比較して、最終的に残ったカード。
それらのカードは
盤面で相手と勝負しにいくカードということで
不利な土俵に自分から登っていく構築に過ぎないと気付き廃棄された。
盤面を作りに行くと
相手のパワーカードをより強く使われてしまうだけ。
「盤面勝負ならレアか神話レアを使う」
というのは、現代マジックの基本中の基本であります。
ギトゥの修士魔導師は、盤面を作りに行かない使い捨てカード。
クラリオンされようが、チュパカブラされようが、盤面でどんだけ負けようが
火力が間に合うまでに自分のライフがなくならなければそれでよい。
このデッキでは
火力と盤面を両方カバーする投石クリーチャーが非常に効率がよく
ナバンの後押しもあって、合計8枚投入された。
火力と盤面を両方カバーする、という観点を具体的に言えば
ラクドスバーンが通用しない理屈を考えると分かりやすいかもしれません。
本来、ラクドスバーンは「危険因子」「剣呑な交渉」と打ってる呪文はかなり強いのですが
盤面死しすぎるために、盤面に火力を打たざるをえなくなる。
イゼットでは使い捨て3/2が多少カバーしてくれる。
ナバンの後押しで反復投石できるために、使用に耐える域まで上方修正される、というわけ。
セレズニアや白ウィニーなど
「議事会の裁き」までナバンを残してくるマッチでは、遠慮なく4点ダメージを打ち込もう。
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燃えがらの風、エイデリズ 1枚
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うーん。
弱すぎて、みるみるうちに4枚から数を減らして1枚。
「水罠織り」が弱いのと同じ理屈で、盤面からダメージを出すカードであるため、でしょう。
3ターン目の脳死特攻では、本来効かないカードである轟音のクラリオンが刺さってしまい
デッキの良さを消してしまいます。
マーフォークのペテン師から仕掛けるのが大前提として運営しても、
返しの必要マナコストが3+1で4。
この時点でまずちょっと重いカードである。
また、「選択」が相棒カードであるため
エイデリズを基軸にしたダメージ戦略だと、ドロー呪文の質が落ちますな。
俺は2ドローが確実な「航路の作成」を使いたいし、
「選択」はバーンデッキには必要ありません。
まあ、しかし0枚ではないと思っている。
強いけども、強いシーン自体が限られるため、ひょっこり顔出す頻度くらいの枚数、
1枚あるいは2枚が適切か。
これを4枚から減らしてギトゥの修士魔導師にしたことで安定した。
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ギトゥの溶岩走り 0枚
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念願の0枚。
他にウィザードがたくさんいるために、魔術師の稲妻が問題なく打てる。
君は心置きなく帰ってくれたまえ。
とにかくこのカードは本当に弱すぎで
赤単の目線では
ラクドスが実装されたら真っ先に解雇したいゴミカードであるが、
解雇したら解雇したで「魔術師の稲妻」が打てなくなるジレンマを抱えている。
1マナにパワー2が一種類もいない赤単プールってやばすぎる。
「クメーナの語り部」くらいの疾走感があるカードがあれば満足にデッキが組めるのだが。
1月の新セットでどうなることでしょうか。
とにかく、イゼットではこのカードを1枚も使わなくて済むことがうれしすぎる。
秒速即決の0枚。
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ゴブリンの電術師 2枚
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「危険因子」を連射するためだけに入っているが
ドロー呪文である「航路の作成」を1マナで打てることは手数の面で大きく評価できる。
大体は蒸気孔から電術師が出てきたらデッキを誤認されるので、
相手は展開を止めて真っ先に除去を打ってくる。
打ってもらうのが良いでしょう。
ラジカルアイデアもディスカバリーも入ってないこのデッキでは
一番いらないカードである。
たまにナバンと一緒に並んでいるときに、対戦相手がこちらに除去を打ってくることがある。
別にミスとは言えないプレイで、おいしい心理戦、情報戦となっている。
「模写」「音波攻撃」などは相性よく使えるが
そこまで電術師に依存する必要もなかろう。
スケープゴート枠+残ればそれなりに強いカードというところ。
危険因子がたくさん手札に来たときに無類の強さを発揮する。
基本的には2枚以上引いたら困るカードであり、
電術師に依存するフェニックスですら、電術師4積みは敗因リスクのある構築である。
その点、我らは気軽に適正枚数で使える枠ですな。
2枚。
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危険因子 4枚
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多くを語る必要もあるまい。
バーンは常に「手札の総火力」の合計を計算し
残り必要な不足点数を計算し続けるデッキである。
危険因子が初手にあれば
開始時の計算で、すでに相手のライフ「12」である。
やばすぎ。
3ターン目にペテン師と危険因子を構えるのが
ナバン軍での天地魔闘。
クリーチャーが出てこないようなら危険因子を打ちまくっていればいいのである。
イゼットドレイクと戦う時などにかなり強い構えとなります。
裏目がないのでプレイしやすいカードだ。
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ショック
稲妻の一撃
魔術師の稲妻 12枚
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旧ラヴニカのボロスバーンと比べても、遜色ない陣営。
「頭蓋割り」「ボロスの魔除け」は確かに強かったが
現代ラヴニカでは「危険因子」を使えるので、このカードのほうが単価が高く、
「扇動者のらせん」枠の代わりに現代では「危険因子」を使っていると思えば
平均すれば今のスペルのほうが少し強いくらい。
逆に、クリーチャーは
旧ラヴニカには「若き紅蓮術師」「チャンドラのフェニックス」「ボロスの反攻者」がおり
段違いに旧バーンのほうが強いかなーという感じ。
まあそんなこんなで
スペル側の話でいえば、特に不満のない12枚確定ゾーン、
頼もしい陣営であります。
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溶岩コイル 0枚
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んー、個人的にはサイドボードにすら必要ないかな、という感じ。
このデッキでは再燃するフェニックスは丘巨人と変わらない。
フェニックスを丘巨人として処理できることがデッキの強みである。
倒したいのは「野茂み歩き」だけ。
メインでは絶対に0枚。
他に野茂み歩きを見れるカードがなければサイドボードにも1枚上限で選択肢。
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航路の作成 4枚
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「予言」が使えるバーンデッキってセンスがよくねえ?と思ったら
なんと2マナで打てるカードがあるとはな。
そこそこの殴りを目標にしているデッキなので強襲しやすく
さらにペテン師と一緒に使うと、なかなかの使い心地である。
ラクドスバーンの「剣呑な交渉」はうらやましいカードではあるが
「航路の作成」もそこまで劣ってはおるまい。
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ミラーリ予想 0枚
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ミラーリ予想自体は、バーンでは最高のカードである。
3章で10点以上は見込めるでありましょう。
が、現時点ではソーサリーがない。
溶岩コイルが絶対不採用である以上は、航路の作成のみ。
まあ、入れたとして1枚。
ラヴニカの献身でラクドス軍から強いソーサリーが出れば
ウィザード要素を薄めて、ミラーリを2~3枚入れる形もありえるだろうか。
●総括
ウィザードタイプのバーンの長所は
・クリーチャーの負担が小さい
・盤面に火力を打たなくて済む
前者は赤単の弱点であり、後者はラクドスバーンの弱点であります。
危険因子or実験の狂乱に依存している、という点では赤単と同じ。
赤単よりゲームプランが優れている。
赤単側に一部羨ましいカードもあるが、まあ総じてはカード単価でも優れている
というようなデッキである。
バーンデッキが風穴を開ける瞬間のメタゲームは
だいたい盤面重視・アドバンテージ重視の構築勝負が始まっているとき。
バーンは盤面を無視して全く違う軸で勝負をしかける。
しかし、メタの一角になりガードされ始めたら一気にしぼむのもまた宿命。
流行る前、意識される前、
風穴を開ける直前の瞬間が楽しいデッキですね。
侮られている時期こそ好機。
ま、気が向いたら使用風景を録画します。
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